プレゼンやディスカッションで気になったことのメモ書き:
脂肪無しの静脈栄養を10~20日続けると(幅が広いですね)、必須脂肪酸の欠乏症がでるとのことですが、個人的には明らかな脂肪酸欠乏症は一度しか見たことありません。髪が抜けたりと、ちょっと強烈でした…。オメガ6が欠乏すると、乾燥肌、感染への抵抗低下、傷が上手く治らないなど、オメガ3が不足すると、手足のしびれ、視界のゆがみなどなどみたいですね。
アメリカで、もっともよく使用されている静脈脂質は、大豆ベースで主な成分はオメガ6です。でも、オメガ6は、感染を促進したり、エイコサノイドを増やしたりなどなど、最近問題視されてます。もう一つ使われているのは、大豆ベースと紅花のミックスです。紅花がミックスされている脂質のほうが、pro-inflammatory ω-6 fatty acids は少ないそうです。これ以外は、FDAに認められていません。
しか~し、FDAに認められていないけど、オメガ3が入っているものに「Omegaven」があります。IND(新薬開発)とかリサーチ系という名目では使えるみたいです。このOmegavenを使うことで、PNALD(静脈栄養による肝臓病)をリバースするというデータもいくつか出ているらしいです。ちなみに、PNALDは、サイクル静脈栄養(1日10時間のみとか、2日に1回だけetc)をしても、週に数回の脂質投与にしても(週に3回だけとか)、マイクロ&マクロ栄養に注意を払っても、腸が機能していない人にとっては物凄くリスクの高い病気です。
そして、静脈用脂質には、めちゃくちゃほんのわずかですが、卵が入ってます。卵にアレルギーのある人でも、ほとんどの場合はアレルギー反応を起こさないと言われています。まれ~に、静脈投与の脂質にアレルギー反応を示す人がいるようですが、これは結構大変みたいです(私も経験したことありません)。皮膚にオイルをすりこむとか、ほんのちょっとだけ経口で脂質を摂取(くるみ&フラックスミックス)するなど、有効性が確立していない方法はあるようです。アレルギーがまれなので、リサーチが進んでいないのかもしれません。
まとめとしては、炎症管理のためにも;
・集中治療室で重体患者には1週間はオメガ6脂肪酸を与えないほうがよいかもしれない
・静脈栄養は患者が低栄養でない限りは、7日以降に開始がよいかもしれない(もちろん経腸が無理な場合のみ)
ところで日本の静脈用脂質は何が材料なのでしょう?
- 脂肪乳剤 (ひ)
- 2009-04-19 17:54:33
- イントラリピッド、イントラファットしか知りませんが、原料は、ダイズ油、卵黄レシチン、グリセリンです。
Omegavenよさそうですね。
- 脂肪乳剤 (あき)
- 2009-04-29 03:41:55
- 私もOmegavenを使ってみる価値ありだと思います。日本でもオメガ6を使用しているのですね。オメガ3と炎症については、きちんとしたエビデンスが無い…という声も出ているようなので(ASPENのリストサーブによると)、これからの動きに注目したいと思います。
- Omegaven (小児外科医)
- 2010-05-26 20:58:06
- 小児期に発症する短腸症候群などの腸管不全は肝機能障害(intestinal failure-associated liver disease=IFALD)を来たしやすく、学会や論文には出ないけど、実は多くの症例が肝不全のために亡くなっているのではないかと以前より考えています。
肝機能障害を来した小児腸管不全症例に対し、臨床研究としてOmegavenを使用しています。またOmegavenの製造販売元の日本法人にも何とか日本国内でも薬事承認がとれるよう働きかけているところです。
- Omegaven (小児外科医)
- 2010-05-26 20:59:42
- 小児期に発症する短腸症候群などの腸管不全は肝機能障害(intestinal failure-associated liver disease=IFALD)を来たしやすく、学会や論文には出ないけど、実は多くの症例が肝不全のために亡くなっているのではないかと以前より考えています。
http://blog.livedoor.jp/motoshi_wada/archives/51764947.html
肝機能障害を来した小児腸管不全症例に対し、臨床研究としてOmegavenを使用しています。またOmegavenの製造販売元の日本法人にも何とか日本国内でも薬事承認がとれるよう働きかけているところです。
- 小児外科医せんせいへ (あき)
- 2010-08-22 02:33:57
- お礼がとても遅くなりましたがコメントありがとうございます。こちらでもomegavenの調査研究はまだまだ続いているようで、学会誌である今月のNCP(Nutrition in Clinical Practice)では、乳児におけるOmegavenの急速投与はtolerateだったという内容が掲載されていました。こちらでもまだ一般には使用許可がおりていませんが、研究が進み適切な承認が下りることを願っております。
ところで質問ですが、最初の問題の尿量が少なく感じますが、補正が要らない範囲なのでしょうか?尿量の目安はそちらではどれくらいですか?人種差とかあるのでしょうか?
それと、こちらでは重炭酸リンゲル液(ビカーボン:味の素)がありますが、そちらでは使用していないのでしょうか?
色々お尋ねしてすみません。
大人の場合、平均的にはアウトプットは1200ー1500mlくらいのようです。自分の患者のアウトプットが500CCなら、”なんとなく”心配になります。だた、この例題では、この500CCの量、検査値をみると、明らかに不足していないことが分かりますので、ケースバイケースだと思います。Laura先生は、検査値を十分に考慮しないといけないギリギリラインの500CCをわざと選んだのだと思います。また、水分制限の有無の必要性も分からない問題になっています。この辺も、いつも生徒にストーリーを考えさせるLaura先生らしい問題だと思います。
重炭酸リンゲル液に関してですが、こちらでは略語で”RL”と表示されるRinger's Lactateならあります。Na 130mEq/L, K 4mEq/L, Cl 209mEq/L, 重炭酸(HCO3)を酢酸(lactate)として28mEq/L含みます。味の素のサイトをみましたが、ビカーボン注は重炭酸を酢酸で代用していないようですね。「乳酸および酢酸が、重炭酸の代わりに用いられてきました。乳酸や酢酸は、代謝機能に異常のある患者やショック等により代謝機能の低下した患者などでは、十分な効果を発揮できないことが考えられています。」とウェブサイトに書いてありましたが、今の私ではホントに効果的なのかは??です…。