2009年5月2日土曜日

エネルギー量の求め方


◎ハリスベネディクトは、使うべきではないことが既に分かっており、RDは使わなくなりました。健康な人にもダメ、病気の人にもダメ、怪我の人にもダメです。臨床栄養士でハリスベネディクトを使っている人がいれば止めよう!



★ADA Evidence-Based Guidelines for Determination of Resting Metabolic Rate

Indirect Calorimetry (Rating- Grade I: strong)
やっぱりゴールドスタンダードは。でも現場では難しい。

肥満ではない重症患者の場合 (Rating- Grade II: fair)
Penn State, 2003a (正確率-79%)
Swinamer (55%)
Ireton-Jones (52%)

重症患者では60~70%の推定エネルギーの投与がいいようです。
60-70%のEN(経腸栄養)を48時間以内に開始するのが望ましい(Rating- Grade II: fair)
70%以上の必要エネルギーを外科系肥満患者に投与するとネガティブのアウトカム(Rating- Grade III: limited)

重症患者に使うべきでない(Rating- Grade I: strong)
Harris Benedict (with or without activity and stress factors)
Ireton-Jones, 1997
Fick equation

肥満患者への使用(Rating- Grade II: fair)
Ireton-Jones, 1992
Penn State, 1998

★Hise et al. 2007
>81% of goal kcal→入院 47 days
<81% of goal kcal→入院 22 days Hise et al. 2007:Medical ICU patients
<82% of goal kcal, ICU LOS was 12 days82% of goal kcal, ICU LOS was 25 days
If <84% goal kcal, hospital LOS was 26 days
Hise et al. 2007:Surgical ICU patients
Surgical ICU patients
<67% of goal kcal, ICU LOS was 10 days67% of goal kcal, ICU LOS was 23 days
If <71% goal kcal, hospital LOS was 20 days

◎肥満患者&気管挿管&栄養管理◎
プレゼンの一つは、集中治療室における肥満&COPD&気管挿管患者の栄養管理についてでした。多くのクラスメートは症例の発表と文献のリサーチをまとめたスタイルでプレゼンしています。

肥満&COPD&気管挿管患者の栄養管理には、私もいつも悩まされています。私や他のRDが頭をかかえる肥満とは200キロくらいの患者さんです。日本では少ないかもしれませんが、アメリカではよくみるケースです。普通に1キロ当たり20カロリーなんてやると、総カロリーが4000カロリーなどになって大変なことになります。過剰な栄養投与は二酸化炭素の生産を増やし、気管挿管を長引かせると考えられています。以前は脂質が多い栄養剤ならいいなど言われていましたが、トータルのカロリーが多いのがまずいようです。

まとめとしては、重症患者には栄養投与をプッシュしすぎないのがいいようです。おおざっぱには7割未満程度の投与がいいようです。まあ、ICUでは、よくチューブ栄養が様々な医療処置のためにホールドされるので、よっぽとプッシュしなければ、自然に7割程度の投与になるかもしれません。ただ、RDによってはこのホールドを見越して、意図的に過剰なエネルギー量を推奨する人もいるようなので要注意。
あきさん、こんにちわ (ひみつ)
2009-05-09 08:25:10
いつも勉強になります。ありがとうございます。
日本では消費エネルギーの推定は、猫も杓子も「ハリスベネディクトの式×ロングの方法」を使用している状況です。日本人は真面目(?)で、何に関しても、「コレと信じたらコレ一筋」という傾向があるようで・・。だから重症患者さんほどとんでもない数値が出ます。

最近は著名な先生方が過剰エネルギー投与の害を訴えておられますが、その声はまだ広まっていません。
経腸栄養で過剰投与、というのは見かけませんが、TPNだと小柄な患者さんに濃い~グルコースが投与されているのを見かけるのもしばしばです。
頑張らないと!
ひみつさんへ (あき)
2009-05-09 14:39:39
グルコースの過剰投与は危険ですね…。高血糖などによる合併症や、肝臓のダメージが心配です。少し前に、とある妊婦さんのブログで、妊娠悪阻で入院し、点滴(多分PNのこと)を受けていたら、それが原因で肝臓がやられてしまったと書かれているのを見ました。こちらでは必ずGER(Glucose Infusion Rate)の計算をしますが、日本ではやらないのでしょうか?

この183キロの患者さんは、Penn State Equationを使っても推定必要カロリーは約2900カロリー(15kcal/kg)ですが、実際の平均投与量は1800カロリーだったようです(計算結果の6割弱)。クラスメートもLaura先生も控えカロリー投与(hypocaloric feeding とか permissive underfeedingと呼ばれてます)には同意していました。Laura先生がRDになった頃は、この患者さんには3000カロリーをプッシュして投与していただろうとのことでしたが、「Now we know that this is dangerous」とコメントされていました。日本でもエビデンスベースの栄養管理が注目されてきているようですが、みんなどこからエビデンスをゲットしているのでしょうね。みんなで変えていかないといけませんね!
ちょっと訂正 (あき)
2009-05-09 14:40:49
GERじゃなくてGIRです…。

0 件のコメント: