2009年7月26日日曜日

私的サマリー:静脈栄養の電解質(1)(09年7月)

私的サマリー:静脈栄養の電解質(1)(09年7月)
-主にナトリウム-

~~~栄養士が知っておきたいこと~~~
◎電解質はトレンドの観察が大切。一般的に電解質replacementは3-7日かかるけど、ナトリウムはもっとかかることも。
◎尿の正常な量は差があるので、量だけを見ずに検査値等もチェック。一般的な尿の量:0.5-2 mL/kg/hr(50キロなら600ml~2400ml)
◎よくあるIVF(点滴)の組成と、体液の組成の目安を知っておく。例えば、IVFでNaを投与し過ぎていたり、足りなかったしているのに、食事の食塩量にクレームがくる場合とか知っておくと便利(汗…)。あと、体液が失われるときは、電解質もガンガン失われることも知っておく。
◎脱水は脱水でも、水分が失われるたもの、ナトリウムが失われるたもの、その混合のパターンがあることを知っておく。
◎水分は水分でも、水(H2O)、生理食塩水、5%デキストロースなどは、体内で分配される場所が違うことを知っておく。
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【IVF(点滴・経静脈投与)の組成】
1/2NS:Na=77mEqmEq/L、Cl=77mEq/L
NS:Na=154mEq/L、Cl=154mEq/L
D51/2NS:Na=77mEq/L、Cl=77mEq/L
D5 NS:Na=154mEq/L、Cl=154mEq/L
D5LR:Na=130mEq/L、K=4mEq/L、Cl=109mEq/L 、HCO3=28 (lactate)mEq/L

独り言~高ナトリウムが心配なときには、NSの代わりに1/2NSを処方すると、1時間当たり100mlとして、一日で約140mEqの違いがでる。これって結構な違いよね。(参考:一般的なナトリウムとカリウムの必要量は、1-2 mEq/kg/d)
でも、瘻孔(Fistula)、下痢、汗、とかから水分が失われる場合は、NaとかClもガンガン失われるので要注意。

【体液の組成】
pH<4の時:2000-2500ml/d、Na=60mEq/L, K=10mEq/L,Cl=90mEq/L4の時:2000-2500ml/d、Na=100mEq/L, K=10mEq/L,Cl=100mEq/L
Pancreatic:1000ml/d,Na=140mEq/L,K=5mEq/L,HCO3=90mEq/L,Cl=75mEq/L
Bile:1500ml/d,Na=140mEq/L,K=5mEq/L,HCO3=35Eq/L,Cl=100mEq/L
Small Bowel:3500ml/d,Na=100mEq/L,K=15mEq/L,HCO3=25mEq/L,Cl=100mEq/L
Diarrhea:1000-4000ml/d,Na=60mEq/L,K=30mEq/L,HCO3=45mEq/L,Cl=45mEq/L
Urine 1500ml/d, Na=40mEq/L,Cl=20mEq/L
汗も…。

☆Volume DepletionとDehydrationの対応。
Volume Depletionは、これは日本語では何だ…。ネットで検索すると、低容量性ショック、Naの不足、循環血漿量低下とか出てきた。Dehydrationは、脱水、水の不足と出てきた。
■脱水(Dehydration)は、細胞内液(intracellular water)が失われるため、血しょうナトリウムの濃度と浸透圧が上がる(高ナトリウム血症)。
■Volume depletionは、細胞外液(血漿と間質液)(extracellular space)からナトリウムが失われた状態で、消化管出血、嘔吐、下痢、利尿剤などによっておこる(Hyponatremic Volume Depletion、Isotonic Volume Depletion、またはHypernatremic Volume Depletionの分類がある)。

例(目安):
【生理食塩水(1000ML 0.9%Nacl)の場合】
その全てが細胞外液へと行き渡る(Intravascular Space 25%、Interstitial Space75%)。
【5%デキストロースの場合】
細胞内液に2/3、細胞外液に1/3が行き渡る。
【水H2Oの場合】
細胞内液に2/3、細胞外液に1/3が行き渡る。その他少量は唾液腺、消化器官内などに。

例えば、脱水(細胞内液が欠乏している)時に、生理食塩水だけじゃ困るようですね。また、ナトリウムが欠乏している時に、水だけとっても困るようですね。

2009年7月1日水曜日

私的サマリー:静脈栄養のマクロ栄養(09年7月)

私的サマリー:静脈栄養の栄養素の求め方(09年7月)

~~~栄養士にできること~~
◎肥満患者のエネルギー:BMIに対する開始時点での目安 
25 ~30: 20~25 Kcal/kg
30 ~35: 15 to 20 Kcal/kg
35以上: 10 to 15 Kcal/kg
35キロの患者もいれば、250キロの患者もいる。
実際に、患者によっては8カロリー/kgもあれば、50カロリー/kgなんてこともあったし…。

◎炭水化物/デキストロース
・静脈栄養によく使われるのは、Dextrose monohydrateで3.4kcal/g。
・最低でも:1mg/kg/min (50キロの場合はデキストロース約72g。デキストロース5%くらいの生理食塩水を60ml/hrで使った時と同じかな)
・重症患者:4 mg/kg/minute (50キロの場合はデキストロース約290g) 
・安定してる患者:5-7 mg/kg/minute。(普段は5mg/kgぐらいが多いかな。もちろん子供はもっともっと多くて大丈夫)
・デキストロースは100-150 gmからはじめて(これはIVFsと同じくらいの量)、2日目を目処に目標量にあげていく。でも、やっぱりデキストロースはゆっくり上げて、たんぱく質は最初から100%投与とか便宜上やりにくいから、全体を少しずつアップしていくってのが多いかも。

◎脂質
・脂質は1g/kg/d以下にする。過剰投与はhypertriglyeridemiaとかreduced lipid clearanceに。その他にも論文などでは弊害が発表されているよう。
・EFAは総エネルギーの2~4%。ホントに不足すると、髪がボロボロ抜けたりする。
・脂質はTG400以上の場合は投与中止する。でも実際は250くらいでホールドするのをよくみるなぁ。やっぱ肝機能が絶好調じゃない時は心配だよね。
・脂質は肝臓にきびしい。もしLFTsが上昇するようだったら、脂肪投与の量や回数を減らす。
・アメリカでは、静脈用のlong-chain&medium chain triglyceridesは今のところ商業用ではなし。研究用のみ。 
・材料はSoybean or safflower/soybean emulsions。
・脂質は10%(1100kcal/L)、20%(2000kcal/L)、30%(3000kcal/L)があるけど、実際に使うのは、病院によって10%か20%。30%は調合用。10%と20%を使う、異なる病院で働いたことがあるけど、脂質はmlでオーダーするから、10%と20%を勘違いした処方が出されていて、すごい量が投与されてたのも発見したことも。例えば、10%を250mlなら275カロリーだけど、20%を250mlなら500カロリー。鎮静剤の脂質も1.1kcal/ml。

◎たんぱく質/アミノ酸
・アミノ酸で一般的なのは10%溶液。15%とか20%もあるけど、値段が無茶高い。


◎TPN投与を目的量までもって行く前に
Mg、Phos、KのレベルはOKか?
Gluは200以下か?
TGは400以下か?
そうじゃなければ電解質投与、インスリン投与etc

◎TPNの停止/ホールド
サイクル投与終了時に低血糖になる場合は、2時間かけて投与率を落としていく。
継続PNを中断時も1時間くらい掛けて落としていく。
TPN中断の目安は、患者が1/2-3/4の栄養摂取量をENやPNで補えるとき。
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今回は、標準スタンダードってことで、参考文献なし…。