2012年12月4日火曜日

代謝性アルカローシスと経腸栄養

ちょっと大きな声で言うのは恥ずかしいんですが、今日、今まで大切な事を完全に見逃してたことに気がつきました。1年くらい前に、医者に「経腸栄養でアルカローシス、アシドーシスの調整はできる?」と聞かれて大バカ私は「ノー」と答えてしまいました。TPNの時はACETATEやらCHLORIDE やらを調整するんですが、経腸栄養剤の場合は、ホントに見逃していました。病院で使っている携帯用の両面経腸栄養剤表には、CHLORIDEを載せてないので、単にそれが理由でちゃんと見てませんでした。今日仕事中にちょっと空き時間ができたので、腎臓用、外傷用、Critical 用とか7種類のChlorideをじっと見比べて、はっとしました。腎臓用のは1日しっかり使ってもChlorideが20mEq程度とか、融通が利きやすいように工夫されてるじゃないですか〜。栄養剤によってはその4倍くらい含まれてるのもあるじゃないですか。。。と気付いたところで時間切れ。もっと確認しないといけないことはあるんだけど、私が1年前に医者に言った「ノー」は少なくとも正解じゃないなぁ。。うぐ。日々前進。

↓これは3年前くらいに書いた内容をコピペ
以前の日記と一部ダブってますが、静脈栄養における塩と酸の私的サマリー。基本的には、塩と酸のバランスはAcetate(acid)とChloride(base)で行われる。他の電解質と異なって、AcetateとChlorideには推奨量はないので状況に応じて調整する。静脈からのナトリウム投与は、Nacl(ナトリウムとChloride)が使われることが多いように思われるが、NaAc(ナトリウムとAcetate)というオプションもある。Bicarbonate(HCO3-重炭酸)は不安定なのでPNに加えることはできない。よって重炭酸の代わりに乳酸や酢酸が使われてきている(注:味の素のビカーボンはそうでないよう)。アメリカの場合、Ringer's Lactate(略RL)は、Na 130mEq/L, K 4mEq/L, Cl 209mEq/L, 重炭酸(HCO3)を酢酸(lactate)として28mEq/L含む。酢酸塩 (acetate)を加えると、acetateは肝臓でbicarbonateにコンバートする。←←これだから分りにくいよね~、体液や静脈投与液なんかをみてると、Cl-とHCO3-なのに、酸と塩の話になるとCl-とacetateとかになってるし…。

血清HCO3-が低い:Metabolic acidosisかRespiratory alkalosis
血清HCO3-が高い:Metabolic alkalosisかRespiratory acidosis
pHが低い=水素イオン数が多い=酸性が強い
pHが高い=水素イオン数が少ない=アルカリ性が強い

【代謝性アシドーシス】血清HCO3-が24mEq/L以下でpHが7.4以下
・下痢(HCO3-の損失)
・Bilary and Pancreatic drainage(HCO3-の損失)
・アルコール性中毒
・糖尿病性ケトアシドーシス
・腎臓疾患(そういえばベーキングパウダー(重曹)を処方するドクターがいたな…)
・あと覚せい剤とかエクスタシーなどの中毒
など

☆体液のHCO3(mEq/L)目安
胃:-
Pancreatic:90
Bile:35
Small Bowel:25
Diarrhea: 45

PNにおけるAcetate(目安)
>-100mEq/L以上投与:ひどい下痢、代謝性アシドーシスの時、Renal HCO3wastingなどの時。
40-80mEq/L:ノーマルな時は特に何もしない。多くの市販アミノ酸液には72-151 mEq/L含まれている。
ゼロ:代謝性アルカローシスや脱水の時はacetate無し。



【代謝性アルカローシス】:血清HCO3-が24mEq/L以上でpHが7.4以上
・Cl-の損失(胃分泌液の損失:嘔吐、NG drainage、Cl-wasting diuretics)
・K+の損失(下剤乱用、アルドステロン症などなど)
・リフィーディングシンドローム
など

PNにおけるChloride(目安)
>-110mEq/L:代謝性アルカローシス、NGからの損出(抜きすぎてCl-損出)、refractory vomiting(Cl-損出)などの場合。
38-77mEq/L:ノーマルなときは特に何もしない。多くの市販アミノ酸液には<-40mEq/L含まれている。
38mEq/L以下:代謝性アシドーシス、ひどい下痢の時

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